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初診日に年金未加入であったが、社会的治癒を主張し、高次脳機能障害にて障害厚生年金2級を取得した事例。

傷病名:高次脳機能障害

性別(年齢):女性(40代)

決定した年金の種類と等級:障害厚生年金2級

請求方法:事後重症請求

年間受給額:約130万円

相談時の状況

相談者は20歳になって3か月目、スキー事故により頭部を強打し、急性硬膜下血腫と診断されました。長期間の入院とリハビリテーションを経て身体機能は回復しましたが、その後、記憶障害や注意障害、遂行機能障害などの症状が現れました。

退院後は、

・物事を覚えられない、

・段取りよく行動できない、

・複数作業ができない、

・感情のコントロールが難しいなど、といった状態が続き、

日常生活では家族の見守りや介助が必要となりました。複数の医療機関を受診しても診断は明確にならず、不安を抱える日々が続きました。その後、頭部外傷後遺症に詳しい専門医療機関でリハビリを継続し、社会復帰を目指しました。

その結果、障害者雇用枠で大手衣料品メーカーに準社員として採用され、約20年間勤務を継続。

しかし、次第に高次脳機能障害の症状が顕著となり、

・業務手順の保持が困難、

・指示内容を記憶できない、

・臨機応変な対応ができないなど、の問題が深刻化。

最終的に専門医を受診し、初めて「高次脳機能障害」と正式に診断されました。

しかし事故当時は年金未加入期間であり、初診日に無保険という重大な問題がありました。

相談から請求までのサポート

本件最大の争点は、初診日問題と社会的治癒の成立でした。

障害年金は原則として「初診日に公的年金へ加入していること」が必要です。本件では事故当時は国民年金の未加入期間であり、そのままでは受給は認められません。

そこで当事務所では、社会的治癒を主張する方針を採用しました。まず、事故後から再受診までの通院歴を徹底的に整理。長期間通院していなかった事実を時系列で確認しました。

さらに、ご本人・ご家族に詳細なヒアリングを実施し、

・約20年間の継続就労実績、

・職場での配慮内容、

・症状固定後の生活状況、

・症状悪化の具体的経緯など、を丁寧に整理しました。

社会的治癒が認められるには、

・症状が一定期間安定していたこと、

・一定期間通院していなこと、

・社会生活が成り立っていたこと、

・継続的な就労が可能であったことなど、を客観的に示す必要があります。

病歴・就労状況等申立書には、これらの内容を、具体的エピソードを交えて記載し、再受診日を新たな初診日とすべき合理性を論理的に主張しました。また、診断書についても日常生活能力や労働能力への支障が適切に評価されるよう、医師へ詳細な情報提供を行いました。

結果

審査の結果、当方の主張が認められ、障害厚生年金2級として認定されました。

年間受給額は約130万円。初診日に年金未加入という難しい事案でしたが、社会的治癒が成立したことで受給が実現しました。

ご本人もご家族も、「まさか認められるとは思っていなかった。これで生活の糧が得られた。」

と大変驚かれ、そして心から喜ばれていました。

現在は経済的な不安が軽減され、安心して治療と生活の安定に向き合うことができています。

  • 初診日に年金未加入でもあきらめないでください、
  • 社会的治癒の主張には専門的判断が不可欠、
  • 長期就労実績は重要な判断材料、
  • 高次脳機能障害は日常生活能力の丁寧な説明が鍵、
  • 障害年金は「医学」だけでなく「法律構成」が結果を左右します、
  • 初診日の問題や社会的治癒でお悩みの方は、早めの専門家相談をおすすめします。

以上

執筆者紹介

高木 悟子
高木 悟子
特定社会保険労務士・年金アドバイザー

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