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高次脳機能障害と障害年金について|社労士が解説

はじめに

こんにちは。社労士の中村です。

当事務所は高次脳機能障害の方からたくさんのお問い合わせをいただいております。そこでこの記事では、高次脳機能障害で障害年金を申請する際に抑えるべきポイントを解説いたします。

※ぜひご家族の方もご一緒にご覧ください。

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目次

1. 高次脳機能障害とは

2. 高次脳機能障害の原因

3. 高次脳機能障害の症状

4. 高次脳機能障害と障害年金

  (障害基礎年金・障害基礎年金)

 4-1 受給要件について

 4-2 診断書について

 4-3 障害認定日の特例について

 4-4 認定基準について

5. 受給事例

1. 高次脳機能障害とは

私たちの脳には「考える」「判断する」「記憶する」「感情をコントロールする」といった高度な機能があり、これを高次脳機能と言います。

事故などによって脳がダメージを受けると、こうした高度な機能が損なわれ、今までと同じように日常生活や社会生活を送ることが難しくなることがあります。これを高次脳機能障害と言います。

高次脳機能障害は外見からは障害があることがわかりづらいため、本人自身や周囲の人がなかなか気づかないことがあります。

 

2. 高次脳機能障害の原因

脳がダメージを受けるのは以下のような場合です。 

外傷性によるもの 交通事故、転倒など
脳血管障害 脳梗塞、脳出血、くも膜下出血
その他 低酸素脳症、 脳腫瘍術後の後遺症など

 

3. 高次脳機能障害の症状

ダメージを受けた部位や重症度により現れる症状は様々ですが、以下のような症状が認められます。

注意障害 じっくりと仕事に集中できないなどの注意の持続困難、作業が始まると他の人の声かけに適切に反応できないなどの注意の分配困難などの障害。
記憶障害 新しいことの記憶が困難、最近のことが思い出せない、約束ができないなどの障害。
遂行機能障害 日常生活や仕事の内容を計画して実行することの障害。
社会的行動障害 自分の行動や感情をコントロールすることの障害。
半側空間無視 目の前の空間の半分(多くは左側)に注意が向かない障害。
失語症 話す、聞いて理解する、書く、読むことの障害。
失行症 麻痺はないのに、意図した動作や指示された動作ができなくなる障害。
半側身体失認 身体の麻痺側への注意が払われず、認識が低下してしまう障害。
地誌的障害 地理や場所が分からなくなる障害。
失認症 見ているもの、聞いているもの、触っているものが分からなくなる障害。

出典:「高次脳機能障害者地域支援ハンドブック」より抜粋

 

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4. 高次脳機能障害と障害年金(障害基礎年金・障害厚生年金) 

4-1 受給要件について

障害年金(障害基礎年金・障害厚生年金)は要件を満たした場合に、受給することができます。要件は以下の3つです。

① 初診日を特定し証明する

② 初診日の前日において保険料納付要件を満たす

③ 障害認定日における障害の状態が認定基準に該当する

詳細はこちら 

4-2 診断書について

取得する診断書様式は、症状の現れた部位により「精神」「肢体」「言語機能」「眼」「聴覚・音声又は言語機能」などが考えられます。複数の診断書を提出することも可能です。

4-3 障害認定日の特例について

「障害認定日」とは初診日から原則として1年6か月経過した日のことで、この時の障害状態の診断書に基づいて認定がおこなわれます。

障害認定日には特例があり、遷延性意識障害が特例に該当します。

遷延性意識障害の場合は、その状態に至った日から起算して3か月を経過した日が障害認定日とされます(初診日から起算して1年6か月を超える場合を除く)。したがって、初診日から1年6か月経過する前に請求することが可能です。

4-4 認定基準について

高次脳機能障害について日本年金機構の「精神」の障害認定基準は以下のように述べています。

症状性を含む器質性精神障害(高次脳機能障害を含む)の等級は、「精神の認定基準」により以下のように決定される。

障害の程度 障害の状態
1級 高度の認知障害、高度の人格変化、その他の高度の精神神経症状が著明なため常時の援助が必要なもの
2級 高度の認知障害、高度の人格変化、その他の高度の精神神経症状が著明なため常時の援助が必要なもの
3級 1 認知障害、人格変化は著しくないが、その他の精神神経症状があり、労働が制限を受けるもの
2 認知障害のため、労働が著しい制限を受けるもの 

出典:「日本年金機構 障害年金認定基準」より

 

「肢体」の認定基準は以下のように述べています。

肢体の障害が上肢および下肢の広範囲にわたる場合の等級は、「肢体の機能に係る認定基準」により以下のように決定される。

障害の程度 障害の状態
1級 日常生活における動作の全てが「一人では全くできない場合」
またはこれに近い状態なため常時の援助が必要なもの
2級 日常生活における動作の多くが「一人では全くできない場合」
またはほとんどが「一人でできるが非常に不自由な場合」
3級 日常生活における動作の一部が「一人では全くできない場合」
または、ほとんどが「一人でできるが非常に不自由な場合」

出典:「日本年金機構 障害年金認定基準」より

なお「失語の障害については、「音声または言語機能の障害」の認定基準により認定する」としていますので、失語がある場合は、「音声又は言語機能の障害用の診断書」も取得することをお勧めします。

 

 

ここまでご覧いただき誠にありがとうございます。高次脳機能障害で障害年金の申請を考えている方やそのご家族の方は一度ご相談ください。初回相談は無料です。

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5. 受給事例

脳疾患、脳損傷及び脳機能不全による器質性パーソナリティー及び行動の障害で障害基礎年金2級が決定し、約78万円受給したケース

海外駐在中に脳腫瘍を発症し地元の病院に救急搬送。初診日を証明するために苦労したが、結果として高次脳機能障害で障害厚生年金2級受給

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脳腫瘍後遺症で高次脳機能障害を発症、就業中で障害厚生年金2級受給

労災年金との併給

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