化学物質過敏症で障害厚生年金3級を受給。
傷病名:化学物質過敏症
性別(年齢):男性(30代)
決定した年金種類と等級:障害厚生年金3級
請求方法:認定日請求
受給額:約60万円 遡及総額:約200万円
相談時の相談者様の状況
ご相談にいらしたAさんはマスクを2重にしていらっしゃいました。
会社で揮発性化学薬品を扱う部署に勤務。頭痛、めまい、ふらつき、舌のしびれなどの症状が出現しました。内科、皮膚科、耳鼻科を受診しましたが原因不明と言われ、ご自身で化学物質アレルギーの専門医を探し出し通院。
ここで病名が特定されました。体調不良が続き退職。その後数社に就職しましたが、インクに反応するため印刷物を扱えないことから短期間のうちに退職せざるをえませんでした。
他人の衣服の洗剤、柔軟剤、化粧品、タバコのにおいにも反応するため、電車に乗るのも辛い状態でした。自宅でも洗剤を石鹸に変える、書籍はほとんど処分し、どうしても必要なものは密封して保管するなどしていました。
相談から請求までのサポート
Aさんは発症した時点で医療費の労災請求をしていましたが不支給となり、ご自分で審査請求・再審査請求をしましたが業務との関連なしと判断され労災に認定されませんでした。
病歴・就労状況等申立書には、ヒアリング内容をきちんと反映させ、仕事ができない状態であること日常生活に支障がある点を記載していきました。
医師に診断書を作成していただく際には、上記申立書を参考資料として添付し、事前にご本人から聴取し記入した「化学物質過敏症 照会様式」もお渡ししました。また障害認定日から3か月以内の通院がなかったため、直近の日付の現症で診断書を作成していただき、備考欄にも障害認定日直近の診断書を提出せざるをえない理由と意見を一言入れていただくようお願いしました。
労災認定されなかったことも受給決定の大きなポイントになりますから、請求時には不支給通知書、審査請求・再審査請求の決定書のコピーを添付しました。
結果
障害認定日および現在も障害厚生年金3級と認定されました。
障害認定日から3ヶ月以内に通院がなく、この間の診断書が出せなかったため、障害認定日請求が認められるか少々不安がありましたが、備考欄の医師の意見で認められたのだと思います。
また化学物質過敏症は特定の化学物質(特に揮発性有機化合物)に接触し続けていると、その後微量の化学物質に接触するだけでアレルギーに似た様々な症状を引き起こす傷病です。障害年金請求時には 「照会様式」を添付します。他の傷病とは若干異なる請求方法ですのでポイントを押さえて請求することが必要です
執筆者紹介
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中村美恵子(なかむらみえこ)
社会保険労務士・医療労務コンサルタント。日本橋を拠点に障害年金をサポートしている。累計相談数6,000件超(2024年6月現在)
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