知的障害のみなさまへ
障害年金という制度をご存知ですか?
知的障害の皆様、障害年金という制度はご存じですか?
「障害年金」は、原則20歳~64歳の方が対象で、病気や事故のため障害を負った方に対して、国が支給する年金制度です。65歳以前に初診日があり、日常生活や仕事に支障がある方に対して支給されます。
知的障害とは?
知的障害とは、知的機能の障害が発達期(18歳くらいまで)に現れ、そのため日常生活に支障が生じ、何らかの援助が必要とされる状態です。知的機能の程度は、知能指数(IQ)と日常生活の様子から総合的に判断され、1度から4度に区分されます。
【1度(最重度)】
知能指数(IQ)がおおむね19以下。日常生活全般にわたり常時個別に援助が必要、言葉によるコミュニケーションや身近なことについての理解が難しい、意思表示がごく単なものに限られる、など。
【2度(重度)】
知能指数(IQ)がおおむね20~34。社会生活に個別の援助が必要、単純な会話はできる、言葉での指示を理解し、2語程度の短い言葉で表現することができる読み書き計算は苦手、など。
【3度(中度)】
知能指数(IQ)がおおむね35~49。援助を受けながらであれば社会生活が可能、簡単な読み書き計算ができる、実生活の場面ではその能力を活かせません。簡単な日常会話はできる、実生活では声掛けが必要、など。
【4度(軽度)】
知能指数(IQ)がおおむね50~75。社会生活の簡単な決まりに従って行動できる、新しい事態や時や場所に応じた対応は不十分、日常会話はできるが、抽象的な思考は苦手。複雑な話は理解できない、など。
知的障害の障害年金認定基準
知的障害の認定基準の一例は下記です。ご参考にしてください。認定にあたっては、知能指数だけでなく、日常生活の様々な場面における援助の必要度を勘案し総合的に判断されます。
労働に従事している場合でも、そのことをもって直ちに日常生活能力が向上したと捉えず、仕事の種類、内容、金陵状況、職場で受けている援助の内容、職場での意思疎通の状況などを確認し日常生活能力を判断します。
知的障害で障害年金を受給するポイント
知的障害の初診日は、お誕生日です。初診日の証明は要りません。
知的障害の認定日は、20歳の誕生日の前日です。この前後3か月の現症日で診断書を主治医に書いていただきましょう。病歴就労状況等申立書は、0歳から請求日までのことを詳しく、エピソードを交えながら書きましょう。
過去にこのような方が障害年金を受給されています
精神遅滞・自閉症スペクトラムにて障害基礎年金2級決定
傷病名:精神遅滞・自閉症スペクトラム
性別(年齢):女性(20代)
決定した年金種類と等級:障害基礎年金2級
支給額:年額約78万円
相談時の相談者様の状況
クリニックのご紹介でご家族が相談にいらっしゃいました。小学校になるとだんだん勉強についていけなくなり、中学・高校と特別学級で学びました。外出先で突然いなくなってしまったり、違うバスに乗って見知らぬところへ行ってしまったりするため、GPSのついたストラップを持たせています。日常生活全般についてサポートが必要です。現在就労継続支援B型事業所に通所中です。
相談から請求までのサポート
日常生活状況を詳細にヒアリングしました。診断書裏面の日常生活能力7項目以外にも、困っていることやできないことを網羅し、病歴就労状況等申立書にまとめました。これを参考資料とし診断書様式と一緒に主治医にお渡しし、診断書作成をお願いしました。
結果
障害基礎年金2級が決定しました。
ご家族の方へ
当事務所ではこちらから一方的に話すのではなく、相談者様のお悩みをしっかり聞くという方針で対応するよう心がけています。
障害年金の手続きは非常に複雑です。ご家族の方のみでも構いませんのでまずはお気軽にご相談下さい。
執筆者紹介
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中村美恵子(なかむらみえこ)
社会保険労務士・医療労務コンサルタント。日本橋を拠点に障害年金をサポートしている。累計相談数6,000件超(2024年6月現在)
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