障害認定日について
■障害認定日とは
障害認定日とは、障害の程度の認定を行う日のことをいいます。
具体的には、障害の原因となった病気やけがで初めて医師等にかかった日(初診日)から起算して1年6月を経過した日(ただし、初診日が平成30年8月31日の場合は、
令和2年2月29日となる)か、その期間内に治った場合は、治った日(症状が固定した日)のこといいます。
また、20歳前に初診日がある場合、初診日から起算して1年6月経過した日が、20歳前にある場合は20歳に到達した日、
20歳後にある場合は、1年6月を経過した日のことをいいます。
■初診日から起算して1年6月を経過する前に障害認定日として取り扱う事例
障害認定日基準等で初診日から起算して1年6月を経過する前に障害認定日(傷病が治った状態)として取り扱う事例は下記の通りです。
下記の場合は、特例として1年6ヶ月待つことなく請求手続きができます。
さらに、下記以外でも障害認定基準に記載されている「傷病が治った場合」に該当すれば、初診日から起算して1年6月を経過する前に障害認定日として認定される可能性があります。
診断書 |
傷病が治った状態 |
障害認定日 |
障害等級の目安 |
聴覚等 |
喉頭全摘出 |
喉頭全摘出日 |
2級 |
肢体 |
人工骨頭、人工関節を挿入置換 |
挿入置換日 |
上肢3大関節または下肢3大関節に人工関節を挿入置換した場合、原則3級(※1) |
切断または離断による肢体の障害 |
切断または離断日(障害手当金は創面治癒日) |
1肢の切断で2級、2肢の切断で1級、一下肢のショパール関節以上で欠くと2級、リスフラン関節以上で欠くと3級 |
|
脳血管障害による機能障害 |
初診日から6月経過した日以後(※2) |
|
|
呼吸 |
在宅酸素療法 |
開始日(常時使用の場合) |
3級(常時(24時間)使用の場合) |
循環器(心臓) |
人工弁、心臓ペースメーカー、植え込み型除細動器(ICD及びS-ISD) |
装着日 |
3級 |
心臓移植、人工心臓、補助人工心臓 |
移植日または装着日 |
1級(術後の経過で等級の見直しがある) |
|
CRT(心臓再同期医療機器)、CRT-D(除細動器機能付き心臓再同期医療機器) |
装着日 |
重症心不全の場合は2級(術後の経過で等級の見直しがある) |
|
胸部大動脈解離や胸部大動脈瘤により人工血管(ステントグラフトも含む)を挿入置換 |
挿入置換日 |
3級(一般状態区分が「イ」か「ウ」の場合) |
|
腎臓 |
人工透析療法 |
透析開始から起算して3ヵ月を経過した日 |
2級 |
他 |
人工肛門造設、尿路変更術 |
造設日または手術日から起算して6月経過した日 |
左記のいずれか1つで3級(※3) |
新膀胱造設 |
造設日 |
3級(※3) |
|
遷延性植物状態 |
状態に至った日から起算して3月を経過した日以後(※4) |
1級 |
※1 人工関節又は人工骨頭を挿入置換した場合は、診断書の内容によっては、障害等級の目安より上位等級となることがあります。
※2 脳血管障害により機能障害を残しているときは、初診日から起算して6月経過した日以降に医学的観点から、
それ以上の機能回復がほとんど望めないと認められるときに認定されるので、請求すれば必ず認められるものではありません。
また、初診日から起算して6月目に必ず症状が固定するとみなされるわけではなく、
初診日から起算して6月を経過するまでは、症状が固定しているとは認められないということです。
なお、症状が固定していないと認定されて不支給となった場合も、初診日から起算して1年6月を経過する前に症状が固定した場合は、
改めてその症状固定した日を障害認定日として障害認定日請求を行うことが可能です。
※3 人工肛門を造設した場合、次のいずれかに該当する場合は2級とし、障害認定日は次のとおり取り扱います。
- 人工肛門を造設し、かつ、新膀胱を造設した場合。障害認定日は、人工肛門を造設した日から起算して6月を経過した日又は診膀胱を造設した日のいずれか遅い日(初診日から起算して1年6月以内の日に限る。) とします。
- 人工肛門を造設し、かつ、尿路変更術を施した場合。障害認定日は、人工肛門を造設した日から起算して6月を経過した日又は尿路変更術を行った日のいずれか遅い日(初診日から起算して1年6月以内の日に限る。) とします。
- 人工肛門を造設し、かつ、完全排尿障害状態にある場合。障害認定日は、人工肛門を造設した日から起算して6月を経過した日又は全排尿障害状態に至った日のいずれか遅い日(初診日から起算して1年6月以内の日に限る。) とします。
※4 遷延性植物状態は、次の①~⑥に該当し、かつ、3月以上継続してほぼ固定している状態において診断されることになりますが、
障害認定日を判断する際の起算日は、診断基準の6項目に該当した日となります。
遷延性植物状態の診断が確定してから、3月を経過した日ではありません。
遷延性植物状態の診断基準の6項目 |
|
① 自力で移動できない |
② 自力で食物を摂取できない |
③ 糞尿失禁をみる |
④ 目で物を追うが認識できない |
⑤ 簡単な命令に応ずることもあるが、それ以上の意思の疎通ができない |
⑥ 声は出るが意味のある発語ではない |
以上
執筆者紹介
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中村美恵子(なかむらみえこ)
社会保険労務士・医療労務コンサルタント。日本橋を拠点に障害年金をサポートしている。累計相談数6,000件超(2024年6月現在)
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